ARTISTS

諸泉 茂 Shigeru Moroizumi

http://moroizumi.art.coocan.jp/MOROIZUMI/

1954 神奈川県生まれ
1979 多摩美術大学彫刻科卒業

活動
2002 作品集[℃]出版

1999〜2001 FUJINO 国際アートシンポジウム  

企画運営
1999〜2000 インターネット プロジェクト「The Shonagon Papers」
1998〜 「Psi 」結成、パブリックアートへの参加


−アトリエの作業台の上に散らばっていた数十本の温度計が一瞬繋がって見えて来た。それらは私の頭の中で次々に連なり赤い帯となった。さらに、窓から差し込む日差しを受けて一連の動きを始める。−

私は、ガラスと液体で出来た温度計を主な素材とし、作品を制作している。温度計とはガラス管の中に液体を封じ込め、その液体が温度の寒暖によって膨張収縮する自然現象を利用し、そこに目盛りを付ける事で温度を計れるようにした計器である。私の使う温度計も人間の生活圏で実際に使用する「寒暖計」である。私はその温度計から例外を除き、目盛りを取り除く。目盛りという読むべきものを取り去ってしまった私は、言葉を無くし、コミュニケーションの方法を失った様な状態に投げ出されるが、同時に一方で温度計が内在的に持っていたさまざまな表情と新たに出会うことになる。私は、この新たな見え方を美術作品の素材とし、温度に反応する物理変化を視覚化してゆく、作品は環境温度の変化、大きくは太陽と地球の自転、公転の関係に操られ、絶えず変化し動いている。勿論、発熱体としての人間との関わりに拠っても大きく変わる。この変化をビジュアル化するのが私の制作といえる。